本気でソード・ワールド2.0のレビューをしてみた
一年と少し前に、人生で初めてTRPGに触れ
TRPGの殆どをソード・ワールド2.0と過ごしてきました。
2レベルから超越環境まで遊び、セッション数も三桁はプレイした今、改めてレビューしてみたいと思います。
1.ソード・ワールド2.0の「売り」とは
一言で言えば「圧倒的自由度」
TRPGに限らず、ゲーム等は大まかに「現実」か「ファンタジー」。もしくは、「その中間」のどれかに分類されると思います。
SW2.0は、「ファンタジー」全てを網羅していると言っても過言ではありません。
この場合のファンタジーは、幻想、つまり非現実的な事全てです。
剣と魔法、そして竜といった王道から、合体ロボット、二丁拳銃、そんな非現実的な出来事がなんだって出来てしまいます。
現実世界に存在しないものの、全てが体験し得る環境がある、これって相当凄いシステムだと思いませんか?
2.配慮されたデザイン
これはきちんとしたデータを取ったわけではありませんが、
今、最も知名度の高いシステムは クトゥルフ神話TRPGでしょう。
このルールブックがおよそ6000円強。
ソード・ワールド2.0の基本ルールブックⅠはおよそ1000円。
必要なダイスは六面ダイス二つ。
判定は、上方成功。
その圧倒的敷居の低さ、これは1.項でも述べたのと同じ位凄い事だと思っています。
TRPGに慣れ親しんだ人から見ると、大した点ではないと思いますが、TRPG未体験者にとって、これほど優しい作りは他に無い! と言いたくなってしまいます。
特に、お金が無い中高生だって、田舎に住んでる人だって始める事が出来る……すごく素敵な事だと思います。
3.拡張性の高さ
遊んでいると、物足りない……あんなことしたい、こんなことがしたい、と痒い所が生じて来ることでしょう。
そうなった時に、追加のサプリメントも勿論ですし
自作できる手段、環境も豊富です。
それは、オリジナルなアイテム、武具、設定、敵、こういったものを気軽に作成し、それを受け入れる基盤が非常に強固で整備されているからでしょう。
遊んでも遊んでも、底が見えない……これほど遊び甲斐があるTRPGも少ないのではないでしょうか。
さて、これらを纏めてみると SW2.0は「初心者からベテランまで遊べてかつ、何でも出来る」というのが良い点でしょう。
では、次に悪い点にも注目してみたいと思います。
4.初心者→中級者の壁
未経験者→初心者→中級者→上級者
という段階を踏むとして
未経験者→初心者
の敷居は、2.項でも述べた通り非常に低い作りとなっていますが。
初心者→中級者 の壁が非常に厚く乗り越え辛い、と感じます。
それは、自由度が高いから、です。
自由度が高いのは、長所にして短所である、これは認めなくてはならないことでしょう。
自由度を確保する為に整備されたルールは、理解するのに少々手間です。
また、シナリオが何にでも耐えうるせいで、「何を作って良いかわからない」ということになってしまいます。
とりあえず、プレイしてみる、までは出来ても、その先が続き辛いのは大きな問題点の一つでしょう。
5.拡張データの豊富さ
これも一見すると、長所ではありますが、大きな短所にも成り得る点です。
4.項を助長する要因でもあります。
ソード・ワールド2.0をより楽しむことのできるサプリメントが豊富です。
しかし、値段は決して安くなく、また数が多いためどれを購入して良いかわかりません。
同様に、リプレイもたくさん出ていますが、どれが面白いのかもイマイチ判別がつかないことでしょう。
環境に応じて必要なサプリを提示するようなサービスも、(自分が知る限り)ありませんから、拡張されきった環境に飛び込む事が非常に難しいです。
これが、初心者→中級者の壁が厚いといった理由の一つにもなります。
(逆に中級者→上級者の壁は薄いといえますが)
ホームページで、Yes/No フローチャートや、簡単なアンケートを答えれば、オススメサプリが提示される診断機能でも掲載するだけで、かなり違うとは思うんですが……。
6.今後のソード・ワールド2.0
昨年、基本ルールブックⅠⅡⅢに加え、様々なサプリメントのデータで6レベル以下のものだけを纏めた、「ルールブックEX」というものが発売されました。文庫本で、非常にお求めやすい価格です。
今年は「バルバロスブック」が発売されました。EXと同様に、文庫本であり、サプリメントに散っていた蛮族PCを収録し、かつラクシア世界における蛮族の生態を詳しく纏めた一品です。
双方とも、基本ルールブックの次に買う事ができます。
サプリメントは高価で、敷居が高い人も手に取ってみる事が出来ます。
これらは、初心者→中級者の距離を短くする効果的な舵切りと言えます。
ですから、更に、環境を拡張するサプリを発売しては、折角薄くなった壁が、再度厚くなってしまいます。
ソード・ワールド2.0は、既存の15レベルを超越する「フォルトナコード」を発売して、ある種完成した、とも言えます。
これ以上の拡張は、様々な面から考えても不可能、であると考えられます。
後は、既存の環境を如何に「初心者からベテラン」までを煮詰めていくか、という展開になるでしょう。