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『なぜ ナイトメアは人間、エルフ、ドワーフ、リルドラケン以外の人族から産まれないのか』

『なぜ ナイトメアは人間、エルフ、ドワーフ、リルドラケン以外の人族から産まれないのか』
――ルキスラの学生による研究論文より

 

胎児に魂が宿る段階において、既に魂が穢れていた存在をナイトメアと呼ばれている。
通常の人族に比べ、穢れが1点多く所持しているのが特徴である。

多くは忌避され、忌子とされてしまうナイトメアだが、彼らは人間、エルフ、ドワーフ、リルドラケンからしか産まれないという特徴がある。

この論文では、何故上記の人族からしかナイトメアが産まれないのかという仮説を証明していくこととする。

 


『仮説、ライフォスへの試練と罰』


ナイトメアが産まれるのは、蛮族の誕生によって穢れてしまった魂が輪廻し、人族の子へ転生することで産まれるのだろう、というのが現在の有力な仮説だ。

では、何故人族の中でも限定的な種族にしか産まれないのだろうか。上記の説が正しければ、等しく人族の中からナイトメアが産まれてもおかしくはないはずだ。

そこで、筆者は調和と友愛を愛し続けたライフォスに課せられた一種の試練であると仮説を立てた。

今でこそ、ライフォス信徒の教えとして、蛮族は滅するべきとされているが、ライフォスそのものの考えとしては人族蛮族問わず調和し、平和な世を築くことであった。
こうした、ライフォスの取り組みは度々蛮族の裏切りに終わり、うまく行っていない。だが、ライフォスは依然その調和を諦めたりはしてないだろう。

しかし、そうした実直な姿勢は時に愚行として捉えられたのではないか? ライフォスの行動によって起きた被害もまた少なくない。そうした行動は、他の神々、あるいは世界から非難されることもあっただろう。

だからこそ、輪廻で巡り、不浄が著しく、完全に浄化しきれなかった魂に対して、他の存在がライフォスに
『軽度な穢れを持った者ですら、人族で調和出来なければ、多量の穢れを有した蛮族と調和など不可能である。可能だというのならば、調和を証明してみろ』と試練を課されたのではないだろうか? そういして、明け渡された存在こそが、ナイトメアとなる魂の素体ではないか? というのが筆者の仮説の内容だ。

その為、魂の輪廻で穢れを完全に浄化しきれなかった魂の行く先が、ライフォスによって加護を受けた種族が引き受ける事になったのだ。

始祖神ライフォスが直接、神の力を分け与えた者として、“ライフォスと三友神”と呼ばれる存在がある。(※1アレスター博物誌)

それは、『太陽神ティダン』『妖精神アステリア』『炎武帝グレンダール』である。
始祖神ライフォスは言うまでもなく、最初に剣を手にした“人間”である。そして、ライフォスによって“リルドラケン”は加護を受けたとされている。
また、ライフォスの力を受けた『妖精神アステリア』によって剣の加護を与えられた人族がエルフであり、同様に『炎武帝グレンダール』によって加護を与えられたのがドワーフとされている。

よって、ライフォスとその直接的な関係にある神によって加護を受けた、人間、エルフ、ドワーフ、リルドラケンに、ナイトメアという名の試練と罰が課せられているのかもしれない。

 

ただ、この論には少々傷がある、それは『ティダンとソレイユ』の項で後述。

 

『仮説の為、他種族の考察』

上記では、ライフォスの管轄における人族がナイトメアを引き受けると仮定した。
この仮説を支持するために、他種族による歴史を調べてきた。

 


『グラスランナー』……魔法文明が崩壊した時を境に登場したとされている為、少なくともライフォスの管轄ではないことが考えられる。
また、余談ではあるが筆者は、魔神と共に度々目撃される説から、別の世界から訪れた種族ではないかという考察を尊重したい。(※2『ファラリスという異界の神名とラーリスの酷似』)

ミアキス』……幻獣アダンダラの親戚という説が強く支持されている。神々によって認められた人族ではあるが、この仮説が正しいと前提するならば、幻獣そのものが三本の剣によって生み出されたものであるから、これもライフォスの管轄ではないと判断できる。(※3『猫に変じれる人なのか、人に変じれる猫なのか』)

『タビット』……タビットが歴史上に登場したのは、神々の戦争の終結後、古代魔法文明時代と考えられている為、ライフォスの直接的な管轄ではないといえる。

『ハイマン』……魔法文明時代に製造された人造的な存在であるため、これもまた否定される。
『ルーンフォーク』……ハイマンと同様にして、魔動機文明アル・メナスに製作された擬似的な魂を運用した人造人間であるため、これも否定される。
『魔動天使』……ルーンフォークの項と同上。

『フィー』……フィーは古代妖精の一種であり、否定される。

『フロウライト』……確かな学説は無いが、早くとも神紀文明末期以降で、『カルディアの子どもたち』と称される為、少なくとも第一の剣の系列ではないことが伺えるため、今回の仮説に関して言えばライフォスではないという否定は可能だろう。

『シャドウ』……“月神シーン”の加護を受けた人族であり、シーンは『ライフォス三友神』より外れるため、ライフォス系列ではないとする。

『ヴァルキリー』……そもそも穢れを有した時点でヴァルキリーの定義に外れ、ナイトメアの逆系統に突然変異であるため、枠組みから外す。

『レプラカーン』……文献が少なく、確固たる否定材料はない。少なくとも魔法文明時代に存在を確認されている。ドワーフの亜種だという説もあるが、裏付けるだけのものがない為、保留とする。

 

仮に、ライフォス系列以外によって生み出された人族からナイトメアが出自している場合、筆者の仮説は否定される。
しかし、ソレイユを除く全ての人族は『ライフォス三友神』との管轄になく、ナイトメアが存在していないことが確認できた。

 


『ティダンとソレイユ』

ソレイユは、ティダンによって生み出された人族であり、『ライフォス三友神』の一人であるから、筆者の仮説をそのまま採用するのであれば、ソレイユからナイトメアが産まれる可能性がある。

しかし、現在ソレイユ産まれのナイトメアは確認されていない。

少々、根拠として弱いが、ソレイユは他の『ライフォス三友神』より加護を受けた人族と比べて、その生まれが少々独特なものであるからだと考えられる。

ソレイユはティダンによって加護を受け生み出されたが、本来ティダンの息子にルミエルを与え神格を与えようとした者を拒否し、代わりに神々に近い超人的な能力を与えて貰った、という伝承もある。

また、ソレイユは人族という立場であるよりも、ティダンの眷属といった考えが主流である。

こうした伝承を踏まえると、他の加護を受けた人族とは立場が少々異なる為、試練を課される対象ではなかったと見るのは暴論だろうか。

しかし、存在が確認されていないだけで、ソレイユ産まれのナイトメアがいる可能性も否定できない。

この点に関しては、もう少し深く研究を進めていきたい。

 

『妖精とナイトメア』

ナイトメアの出自を確認するのに使われる手法として、ナイトメアの弱点がある。
ナイトメアは銀に加えて、生まれにより弱点となる属性がある。

それぞれ、人間は土、ドワーフは炎、エルフは水・氷属性、リルドラケンは風属性を苦手とする。
親の種族に馴染みが深い属性に対応して、弱点とされているのはひとえに試練であり、より種族から相反してしまう要素を付け加えた、とも考えられるが。

この世界はマナをベースに、属性という概念が存在する。

たとえば、魔法の【サンダー・ボルト】は雷属性を持つ。他にも、純エネルギー、衝撃、斬撃など魔法にはある。

しかし、これらのナイトメアの弱点に共通する属性は、『妖精魔法』が持つ属性だけに留まる。

これらに、ナイトメアとどういった相関があるのかは主張する材料が薄いが、ナイトメアというものを考えるにあたって放置することは出来ない事実ではないだろうか。今後研究を進めていくにあたって、この点にも着目していきたいと考える。

 

『最後に』


説としては弱いが、ナイトメアという存在は人族の調和への道の鍵であり、逆に調和への象徴とも言えるのは誇張表現だろうか。

とかく、ナイトメアとライフォスとその三友神との関係性は強いことが挙げられた。仮説の一つとして今後も研究を続けていきたい。