少し不真面目にSW2.0の春サプリメント(バトルキャンペーンブック)のレビューをしてみた
以前に、このような記事で夏の大型サプリについて紹介しました。
この三種類の大まかな説明をしますと。
『夏の大型サプリ』……新しい種族、魔法、技能と言ったデータが追加されたり、ルールがより遊びやすく整備されたもの。SW2.0をより深く楽しむことができる。
例:アルケミスト・ワークス/バルバロステイルズ/ウィザーズトゥーム/等
『バトルキャンペーンブック』……一人からでも遊べる、GMが居なくても遊べる、といった特徴を持っているサプリ。
電源ゲームでいうソフトが一本まるっと入っている感じ。
GMが上手く出来ない、居ない、一人でも遊びたい、といった人へオススメ。
名称が統一されておらず、ゲームブック型サプリメントだったりバトルキャンペーンブックだったりと呼ばれ方がある。
例:ミストキャッスル/カースドランド/フェアリーガーデン/エターナルエンパイア/等
『博物誌』……SW2.0にはたくさんの地方が出てきます。ルールブックだけでは触れられない所を、より詳しく紹介したもの。
その地方の特産品や、流派、有名人が載っているのが特徴。
例:ザルツ博物誌/フェイダン博物誌/ユーレリア博物誌
今回はこのバトルキャンペーンブックを、独断と偏見で紹介していきたいと思います。
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『ミストキャッスル』
面白さ:☆☆☆☆☆
購入推奨:☆☆☆☆☆
わかりやすさ:☆☆☆☆
SW2.0ゲームブックの記念すべき第一作。
第一作にして、至高の一冊とも言えます。
ミストキャッスルは、レーゼルドーン大陸にある「霧の街」が部隊です。
「霧の街」は、大破局の時、蛮族に手酷くやられてしまった街で、未だ蛮族の支配が続いています。この街に住む人族はほぼ全て奴隷階級であり、蛮族に虐げられています。
主人公となるPCは、この街の情報収集の為にやってきたり、元から住んでいたりといくつかの導入からスタートし
霧の街を脱出、あるいは解放を目的として臨んでいくことになります。
このキャンペーンの、私が評価しているポイントは「人族と蛮族の対立」です。
ソード・ワールド2.0の基本的な部分に立ち返り、「蛮族のクソ野郎!」という思いを持って戦い、障害を乗り越えます。
例えば、『鉄板の上で人族がダンスさせられ、蛮族がそれを笑いながら見ている』『壁に逆さ吊りされた人族に石を投げつける』なんて光景にしばしば出くわします。
もうこれは迷わず蛮族ぶっ倒したろうやないか! とシンプルにいけます。
バトルキャンペーンブック独自のシステムが少々わかり辛いですが、「ミストキャッスル」“は”一度わかってしまえば割とシンプルな作りで取っ掛かりやすくもあります。
更に「ミストキャッスル」の目玉システム“魔改造”というものがあります。皆大好き魔改造です。
霧の街で死んでしまうと、身体の一部を蛮族等とくっつけて改造されて蘇生されることがあります。
(例:腕がボガードになったり、眼がバックベアードになったり、足が
“魔改造”の好き嫌いはあるとは思いますが……。思ってるより、簡単にPC死ぬので、PCが死ぬのを嫌悪される方は ちょっと注意ですね。
「霧の街」の支配者であり、表紙のイケメンバジリスク「ヤーハッカゼッシュ」をぶっ倒せるまで頑張って挑戦してみましょう。
ミストキャッスルは基本ルールブックⅠⅡⅢで遊ぶ事が出来ます。これも地味にポイント高いですね。
『フェアリーガーデン』
面白さ:☆☆☆
購入推奨:☆☆
わかりやすさ:☆☆☆
バトルキャンペーンブック第二弾。
妖精のいたずら表が他のセッションでも流用できて、便利です。以上です。
というのは少し冗談として…妖精郷と呼ばれる世界へ迷い込んだPCたちの物語です。
根本的なシステムはミストキャッスルに似ていますが、マッピングがミストキャッスルと比べて、やや面倒になっています。
前作のミストキャッスルは殺意が高かった反面、今回は殺意がかなりマッタリに抑えられてます。
というのも「のんびりモード」という選択も出来て、戦闘のレベルを下げるモードもあります。
更に、言ってしまえば「残機無限」が話を進めると出来るようになってたりもします。
SW2.0に慣れていない人達同士が、GMのシナリオ作るの大変という時に使うのが向いているかもしれないです。
データとしては、高レベル妖精のデータだったり独自の騎獣がありますが、「バルバロステイルズ」でほぼ補完されているのでデータ目当てに買うという程ではないですね。
『エターナルエンパイア』
面白さ:☆☆
購入推奨:☆☆☆
わかりやすさ:☆☆☆
謎に包まれた伝説の王国エターナルの秘密を解明せよ、という。
エターナル王国跡地の傍にある村のお抱え冒険者となり、村を開拓発展させていくバトルキャンペーンブック。
一言で済ますと『モンスターハンター』
エリアマップがあり、区切られていて、もうまさに『モンスターハンター』
討伐依頼あり、運搬依頼あり、『モンスターハンター』をSW2.0でも遊べるぞ! というノリ。
実は、かなり高レベルまで対応しており、『15レベル』まで想定してあります。
モンスターのランダム遭遇表が2~15レベルまで用意されていたりするので、このサプリを遊ばないセッションでも、この遭遇表が流用できたりします。
また、オリジナルデータがそこそこ盛り沢山です。
ライフォスやグレンダール、ティダン等、神に対応した武器や防具があり、それらを持ってると信徒から尊敬されるという。別の卓で敬虔な信徒PCがいれば流用しても面白いです。性能も普通に良いのです。
そして、何よりも最高のアイテム〈ラプロアの実〉があります。このアイテムの為だけに買っても良いかもしれません。
わかりやすさは難解という程ではありませんが、如何せん管理するデータが多いのがネックです。シナリオが今まで一番、ウーンという気もしますが…村を発展させていったり、といった要素に面白みを感じれると楽しいかもしれません。
『カースドランド』
面白さ:☆☆☆☆☆
購入推奨:☆☆☆☆
わかりやすさ:☆☆☆
アイヤール帝国の《封鎖領》には忌まわしき伝説があった。曰く“その地に永く留まれば、心身を蝕まれ怪物と化す”と。調査、探索、一攫千金。自らの目的を果たすため、冒険者たちが《封鎖領》の謎に迫る!
とのことで、アイヤール帝国にある呪われた地《封鎖領》に挑みます。
殺意マックスキャンペーンブックです。割とポンポン死ねます。
この地に長く滞在したり、死んだりすると『変異』と呼ばれ、身体が異形のものへと変化してしまうんですね。「ミストキャッスル」の魔改造に通ずるものがあります。
どんどん身体が変化していく中、脱出や目標達成の為に駆け回ります。
シナリオも面白いですし、全体システムとしては分かり易い方なので、「ミストキャッスル」を遊び倒した後「カースドランド」という流れは丁度良いかもしれません。
「ミストキャッスル」とシステムの類似点も多いので、比較的スムーズに遊べるかと思います。
ただ、初心者向けではないことは確かなので、その点は注意したいですね。
『ミストグレイヴ』
面白さ:☆☆☆
購入推奨:☆☆
わかりやすさ:☆☆☆☆
ということで、バトルキャンペーンブック第五弾となる『ミストグレイヴ』
なんとあの「ミストキャッスル」の部隊「霧の街」の地下には、更に街があった!
原点回帰をテーマにということで、「ミストキャッスル」の続編にあたります。
「ミストキャッスル」を未プレイでも遊べますが、断然「ミストキャッスル」を遊んだ後プレイするほうが衝撃の事実が味わえます。「ミストキャッスル」より先にこちらを買うぐらいなら「ミストキャッスル」を遊びましょう。
システム面も「ミストキャッスル」とほぼ同じなので、プレイし易さはありますね。
ソロプレイにも対応しています。割とシナリオが壮大なものにもなっているので、面白いっちゃ面白いんですが……まあ、ミストキャッスルで充分かな、という気も…。
「霧の街」の地下なので、実は「霧の街」と移動する手段があり、場合によっては「霧の街」に移動して物語が始まる、という展開もあったりするのが地味に面白いですね。別に移動しませんけど。
「霧の街」に隠された秘密を知りたい方は買ってみても良いと思います。
『カルゾラルの魔動天使』
面白さ:☆☆☆☆☆
購入推奨:☆☆☆☆
わかりやすさ:
蛮族はびこるカルゾラル高原にカチコミ仕掛けていくバトルキャンペーンブック第六弾です。
実は、バトルキャンペーンブックという呼称はこのサプリからつけられました。その名に恥じず、戦闘まみれの仕様ですが…どうしてこうなった。
「新機軸」ということで色んな要素を煮詰めて完成されたそうなんですが……システムが死ぬほどわかりにくい。
どうしてそんなに遊び辛く出来るのか? という位、遊び辛いしわかりにくい。
上のわかりやすさの☆は書き忘れじゃなくて、ゼロです、ゼロ。
参照性も悪いですし、スマホアプリなんて作ってる暇があれば、これをゲームアプリにしてプレイアビリティを解決出来てれば最高傑作じゃないのか、と言いたい。
少し逸れてしまいました……。
これだけ貶したい理由が、「遊びやすさ以外の要素がとても良い」からなんですね。
新たに登場した種族「魔動天使」
加えて、カルゾラル高原という舞台。
カルゾラル高原を支配する「四皇九君」
シナリオ、登場NPC…歴代サプリの中でも突出して面白い要素がたくさんあるんですよ。でもわかり辛い。
もう色々と勿体なさが激しくて、なんとも言えないんですね…。
新種族「魔動天使」は作中だけでなくPCキャラクターとして作成できるデータもあります。ただまあ、「魔動天使」強すぎて、身内卓以外で許可はまず無いとは思いますが……。
データブックとして見るのであれば、そこそこ面白いですし、買って損は無い気はしますが……自己責任で…。
ソロプレイも対応しているので、まあ……遊ぶ相手がいなくても遊べは出来ますね。
理想は「カルゾラルの魔動天使の卓にPLとして参加する」です。それならば、このサプリの最大の問題点をクリアして遊ぶ事が出来るので、文句なしに楽しめるでしょう。
『プロセルシア秘史』
面白さ:
購入推奨:
わかりやすさ:
ラクシア世界の極東、プロセルシア地方が舞台のバトルキャンペーンブックと改名されてからの、第二弾です。
正直言うと、ごく最近買ってまだ詳しく読めていないので…レビューの☆はまだつけられないということで。読めたら、またレビューします。
パラっと見た限り、プロセルシア地方の博物誌とキャンペーンブックが合体した、という感じですね。
凄く強い流派も載ってたりしますし、プロセルシア地方について知りたい方は買ってみても良い気はしますが……あまり面白そうな気配は無いですね……。
『彷徨ノ塔』
面白さ:☆☆
購入推奨:☆
わかりやすさ:☆☆
またサプリ名前が変わりました。今度は『ワールドオデッセイ』らしいです。
やることは、バトルキャンペーンブックです。「彷徨ノ塔」で眼が覚めた主人公PCは記憶が無く、あらゆる時代につながるこの場所で記憶を取り戻すべく奮闘します。
今回のポイントは、「高レベル作成からのスタート」でしょう。
9レベルぐらいからスタートします。(人数が多いと7レベル位になります)
16~17レベルまでプレイ可能サプリ「フォルトナコード」を導入していれば、17レベルまで対応しています。というか、真のラスボスは16レベルに超越してないと倒せないです。
当然、こんな高レベルからスタートですし、超越までさせますから全夏の大型サプリ搭載前提、のようなところがあります。新規ユーザー向けでない事は確かです。
今回も例に漏れずシステムがわかり辛いです。ストーリーも壮大な割に、なんと言って良いのか、うーん。部分部分では面白かったりもするんですけど…まともにプレイしてると、その煩雑さからカタルシスが薄れると言いますか…。
色んな時代に飛べるので、その時代時代の設定が知れるという意味では面白いですね。
それに加えて、特殊神聖魔法も載っている新たな神「紡糸の女神 エルピュセ」のデータも載っています。
データブックとして買うのであれば、ちょこっと楽しめるかもしれません。
地味にカースドランドのエピソードが繋がってたりします。正直なところ、歴代のバトキャンサプリを全部プレイした後でも遅く無いかと思われます。
高レベルプレイに惹かれた、等の理由が無ければ。
ということで、バトルキャンペーンブックの紹介は以上です。
これらは、あくまで私の感想であり、他の方から見ると全く違う評価になる可能性が高いです。あくまで一意見だという点をご承知ください。
しかし、値段もそこそこしますし、運用が大変だったりするので、「シナリオを考えなくてもセッションをしたい!」という新規の人だったりは、以下のミニサプリ付きリプレイの購入をオススメします。
これらのミニサプリは、三桁円で買える文庫本であり。
前半部分がリプレイ、後半部分がデータセクションとなっています。
リプレイを読めば、遊び方が楽しみながら把握できるので、運用もとても簡単です。
バトルキャンペーンブックは、ちょっと手が出ないなぁ~、という人は是非。
そして、バトルキャンペーンブックの余談ですが「ミストキャッスル」と「フェアリーガーデン」は、プレイした内容をリプレイにして公開する許可が出ていました。……限定的なサイト下のみだったかは、思い出せないので詳しくは、調べて頂きたい…!